水郡線(すいぐんせん)は、茨城県水戸市の水戸駅から福島県郡山市の安積永盛駅までと、茨城県那珂市の上菅谷駅で分岐して茨城県常陸太田市の常陸太田駅までを結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。奥久慈清流ラインという愛称が付けられている。2014年4月1日から、水戸駅 - 常陸大子駅間・上菅谷駅 - 常陸太田駅間が旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「東京近郊区間」に含まれている。また、水戸駅・上菅谷駅・常陸大宮駅・常陸大子駅・常陸太田駅でIC乗車カード「Suica」(相互利用可能なICカードを含む)利用可能駅となっており、これらの駅の相互間、またはこれらの駅と水戸駅以遠のSuicaエリアの駅との相互間で利用できる。線内ではこれらの4駅以外ではICカードは引き続き利用できないほか、安積永盛駅方面へのエリアを跨ぐ利用もできない。安積永盛駅をのぞき東日本旅客鉄道水戸支社の管轄である。安積永盛駅は同社仙台支社の管轄であり、磐城守山駅 - 安積永盛駅間(水戸起点135km地点。阿武隈川を挟んで東側)に支社境界がある。水戸駅と安積永盛駅、それに直通運転先の郡山駅をのぞく線内全駅にトレインロケーションシステム「おしらせくん」が設置されている。水戸駅を出ると、すぐに常磐線から分岐して北上する。この直後、台地を抜ける切り通しは水戸城の空堀を利用したものである。この区間は水戸のベッドタウンであり、住宅地と農地が混在する平地を走行する。比較的こまめに駅が設置されており、駅間距離は1-2kmと短めの区間が続く。ほぼ国道349号と並行している。ただし、水郡線は旧道に沿って建設されたため、後から開通したバイパスからは離れており、バイパス沿線に多いロードサイド店等の利用には難がある(これは常陸大宮市の国道118号バイパスについても同様のことが言える)。このため、折からの利用者減も相まって水郡線沿線周辺の空洞化が課題となっている。また、当区間以北も含め駅に通ずる道路が狭いところも多い。なお、国道6号および常磐線まで5km強程度と比較的近くを走る地域もある。水戸駅と上菅谷駅以外の駅はすべて無人駅であるが、この区間の無人駅にはすべて簡易自動券売機が設置されているため、列車に乗る前に乗車券類が買える(下菅谷駅はかつては簡易委託駅となっていたが、現在は無人駅となっている)。ただし簡易自動券売機も稼動時間が決まっている(概ね列車運転時間帯は稼働している)。また簡易自動券売機では当日の100キロ以内の片道乗車券しか発売していない。上菅谷駅は水郡線の途中駅において乗車人員が3位(2010年度)となっており、本数が減る常陸太田駅や常陸大宮駅より少ない。水戸 - 常陸青柳間の那珂川橋梁は過去の堤防が低い時代に架橋されたため、堤防を掘り下げた構造となっている。大雨の影響で那珂川が増水した場合は防水門で橋梁が封鎖され運休になりやすく、また那珂川橋梁が増水した河川の流れを阻害しているため、洪水・老朽化対策として隣接する水府橋と共に2011年4月10日完成予定で架け替え工事が行われていた。しかし、同年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で水郡線も不通となり、旧橋梁・新橋梁共に損壊を受けたために予定が変更され、線路を新橋梁経由に切り替えて同年4月15日に復旧した。上菅谷駅で郡山方面と常陸太田方面に分岐する。常陸太田方面は太田支線・太田線などとも呼ばれているが、歴史的にはこちらの方が古く、上菅谷駅からは直進するルートとなっており引き続き国道349号とほぼ並走する。主に朝夕の通勤・通学時間帯は水戸 - 常陸太田間の直通列車が運行されるが、それ以外の時間帯は上菅谷 - 常陸太田間の運行となり、水戸へ向かう際は上菅谷で乗り換える必要がある。上菅谷 - 常陸太田間は、上下列車が行き違いできる交換設備をもつ駅がなく、終着の常陸太田も1面1線の構造であり、この区間には上下列車合わせて1本の列車しか入線できない。そのため朝夕の通勤・通学時間帯を含めて、1時間に1本の本数に留まる(昼間は約2時間空く時間帯もある)。この区間は主に農地が目立ち、駅周辺に小さな集落が広がるのみで、途中駅の利用者は多くない。ほとんどの利用者は常陸太田に集中しているが、常陸太田駅は水郡線のみが発着する駅としては乗車人員が1位(2010年度)であるため、水戸 - 常陸太田間の旅客輸送は水郡線の営業収入において大きな位置を占めている。特に日立電鉄が廃止された後は、常陸太田市街への唯一の鉄道路線となっている。上菅谷 - 常陸大宮間は水戸の近郊区間としての特色が強く、1時間に1本程度の本数が設定されている。農地が目立つが、駅周辺は住宅地が集積している。上菅谷から西方に分岐し、茨城県道31号瓜連馬渡線に沿うように旧瓜連町方面に進み、瓜連駅付近からは国道118号と並行する。常陸大宮は水郡線における水戸近郊圏の北限で、途中駅において乗車人員が2位(2010年度)である。常陸大宮より先は、久慈川と並行して八溝山地に分け入るように進み、勾配・カーブの連続で山岳路線の雰囲気が色濃くなる。沿線のいたるところで久慈川と交差する箇所があり、車窓に川面が映る場面が多い。沿線人口も希薄となるため、各駅の乗車人員はかなり少なくなる。沿線、特に大子町には日本三名瀑の一つである「袋田の滝」や、奥久慈温泉郷、八溝山などの観光スポットが多くあり、沿線住民の利用者に加えて観光での利用者も多い。そのため常陸大宮 - 常陸大子間も1-2時間に1本ほどの列車が設定されており、水戸への通勤・通学が可能な圏内の北限とされる。八溝山地と阿武隈高地の間を走行する。山地を走行するが、一般的な山岳鉄道とは異なり、トンネルは少ない。山間部を縫う様に走行するため、制限速度55km/h - 70km/h程の曲線が多く存在する。磐城石川より先は東北本線と2 - 5kmほどの距離を置いて並走する形態となるが、両線の間に流れる阿武隈川によって利用者の棲み分けができている。沿線の途中に福島空港があるが、空港の利用者数が極端に低いことと、この区間の水郡線の本数が少ないこともあって、水郡線は福島空港への空港アクセス路線の機能は担っていない。水郡線の終点は安積永盛であるが、すべての列車が東北本線に乗り入れ郡山まで運行される。線路名称上は安積永盛駅が終点だが、同駅で折り返す列車はなく、東北本線に乗り入れて郡山駅発着で運行されている。全体的にはおよそ1 - 2時間に1本程度の運行であるが、水戸駅 - 上菅谷駅・常陸大宮駅間は1時間あたり1 - 2本運行されている。水戸駅 - 常陸大宮駅・常陸大子駅間と上菅谷駅 - 常陸太田駅間の区間運転の列車も多く、水戸駅 - 郡山駅間を全線通しで運行される列車は1日あたり下り7本、上り6本のみである(季節列車・接続列車をのぞく)。常陸大宮駅発着列車のうち夕方の1往復が休日運休である(以前は早朝の常陸大子駅始発の水戸方面の列車も休日運休だった)。上菅谷駅 - 常陸大子駅間は15往復程度の運行がある。常陸大子駅 - 郡山駅間の本数は水郡線の中でも最も少なく、3 - 4時間ほど運行されない時間帯がある。支線の常陸太田駅発着列車は朝夕を中心に水戸駅発着が設定されているが、日中や夜間は上菅谷駅 - 常陸太田駅間の支線内の往復運行となっている。おおむね1時間に1本ほどの運行である。早朝と深夜に上菅谷駅 - 常陸太田駅間に回送列車が設定されている。水戸駅 - 上菅谷駅間は、水戸駅 - 郡山方面の本線筋の列車のほかに、水戸駅 - 常陸太田駅間の支線方面の列車も走行するため、水郡線において列車密度が一番高い区間である。1時間あたり朝ラッシュ時は3本、日中は1 - 2本程度運行されている。郡山側では、前述の全区間運行列車のほかに常陸大子駅 - 郡山駅間の区間列車が下り2本、上り1本(水戸行きに連絡)と途中の磐城石川駅で翌朝まで留置される磐城石川駅 - 郡山駅間の列車1往復がある。また、上りは夜21時台の郡山発磐城棚倉行きでそのまま留置され、翌朝6時過ぎに磐城棚倉発水戸行きとなる運用がある。日中時間帯に常陸大子駅 - 郡山駅間で1往復増発される日(土休日および沿線学校の変則時間割の日など)がある。列車は1 - 4両編成で運行されており、ラッシュ時は3 - 4両編成が多い。また、列車によっては平日と休日で編成が異なる場合がある。水戸駅 - 常陸大子駅・常陸太田駅間は主に2 - 4両編成、常陸大子駅 - 郡山駅間は1 - 3両編成で運行されている。かつては5両編成も存在していた。最終列車は周辺路線と比べると早く、上り列車の水戸着は21時43分、水戸発の下り常陸大子行き(常陸太田行き接続)は22時30分である。水郡線の下りと比較すると水戸線の下館行き(22時30分発)と同等だが、常磐線の下り最終接続列車は水戸線の方が1本遅い。この他の周辺路線の最終列車は概ね水戸駅・勝田駅発着が23時台に設定されている。全区間でワンマン運転を実施しており、ワンマン列車は1両または2両編成で運行されるが、休日を中心に増結があり、時刻表にワンマンと書かれていても実際はワンマンではなく車掌が乗務していることがある(ツーマン運転)。また、ワンマン列車でも車掌のネームプレートを付けた乗務員が乗車することがあるが、この場合、車掌は切符の販売、安全確認、乗り換え案内放送などを行い、ドアの開閉は運転士が担当する。車掌乗務のワンマン列車の場合、車両がワンマン運転が困難なぐらい混雑するとワンマン運転を取りやめることがある(旧来の車両はドアが片面に2つしかなく、そのドア付近に乗客が溜まりやすいのも一因であった)。この場合、取りやめた駅からは通常の列車と同じになりドア扱いを車掌が行うため、無人駅でもホーム側の全ドアが開くようになる。なお、中央のドアは、無人駅では乗降扱いを行わない。春の行楽シーズンや秋の大子の紅葉シーズンには、臨時快速「ぶらり奥久慈号」やトロッコ列車の「風っこ」号などが運行される。また、1990年代には常磐線松戸・我孫子から常陸大子までキハ40系やキハ58系を利用したホリデー快速が運転されたこともある。以下の各急行列車はいずれも1966年まで準急列車蒸気機関車時代は水戸機関区の8700形や8620形が客貨列車牽引に使用されていたが、1960年にDD13形ディーゼル機関車が投入された。しかし同形式は列車暖房装置を持っていないため、大正末年製造の古参暖房車ホヌ30形も水戸に配属され、冬季は機関車の次位に連結されていた。1971年頃DE10形に代替され、暖房車も廃車された。便宜上、安積永盛側の全列車が直通する東北本線郡山駅までの区間を記載。なお、東北本線内の貨物駅は省略。括弧内は起点(水戸駅)からの営業キロ。
出典:wikipedia
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